【商品番号】8521 【商品名】センチメンタルな旅 私家版 【製作者】荒木経惟 【メーカー】私家版 【発行年】1971(S46)01 【サイズ】240×240mm 【ページ数】106P 【備考】限定1000部、付録ペーパーはカラーコピー 【状態詳細】シミ 【最低落札価格】400,000円
【コメント】 この写真集を伝説たらしめるのは、偉大な写真家のデビュー作であることや限定1000部の私家版ということばかりではない。 この1冊の写真集の中には「出会いと別れ」、「生と死」、「始まりと終わり」が全て含まれいる。それは20年後「センチメンタルな旅 冬の旅」の出版によって明らかになる 荒木の数多ある写真集の中で最も有名な「センチメンタルな旅 冬の旅」にはこの写真集の一部が掲載されている。こちらの写真集は今でも入手可能で、恐らく今後も再版がかかり続けるであろう名作である。序盤を構成する「センチメンタルな旅」は私家版の抜粋、そして中心となる「冬の旅」では愛妻・陽子の病気発覚から死去による別れが写されている。まるでこの時の別れを予期していたかのように「センチメンタルな旅」には「死」を連想する写真が随所に現れるのである。草原に置かれた石、新妻となった「陽子」が柳川の舟でうたた寝する姿は、墓石や死者を運ぶ三途の川のようだ 偉大な写真家たちは皆、偶然にしては出来過ぎのドラマチックな写真を残しているが、1人の写真家が自分の人生を大きく揺るがすような出来事の予見を、写真家として歩み始めたその瞬間に写したのはこの作品が初めてで、これから先もでてこないのではないだろうか 比較的入手しやすい復刻版が出版されているものの、灰白色のあいまいな色調や時々かすれる印刷の不完全さが自ら制作されたものであるという雰囲気を際立たせいている 手書きの文字がそれに映え、オリジナルでしか出し得ない風格があるのは一目瞭然 荒木は「陽子が私を写真家にした」と言っていたが、「センチメンタルな旅 冬の旅」で彼女の遺影となったポートレートを生涯超えることはできないだろうと写真家の終焉ともいえるような言葉を残している 彼の始まりであり、終わりを予見した1冊、処女作にして過去類をみない最高傑作となった伝説の写真集がこの私家版「センチメンタルな旅」です
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