【商品番号】6501 【商品名】天野可淡 創作人形 【製作者】天野可淡 【発行年】1990年代 【サイズ】1550mm 【ページ数】創作人形 【備考】粘土、植毛/着物・帯・髪飾り付き 【状態】並 【状態詳細】右手親指付け根などペイントハゲあり 左足首ペイントハゲ・亀裂あり ゴム紐のび(オリジナルゴム紐) 【最低落札価格】3,000,000円
【コメント】 元々日本には三つ折れ人形と呼ばれる体を動かせる人形が存在していました。しかし現在の日本の球体関節人形はそこからの発展ではなくハンス・ベルメールからです ベルメールはドイツ出身のシュルレアリストで65年に澁澤龍彦によって日本に紹介されました。それにいち早く反応したのが四谷シモン、 続いて70年代に天野可淡と吉田良一(現在吉田良)が人形制作を開始します。四谷シモンは多くの人に人形制作のきっかけを与えたものの最初から現在まで常に異端であり続けています。ここまで創作人形が広がったのは天野・吉田氏の力によるものだと思います。それまで人形といえば可愛らしい愛玩用が主でした。そこに突如現れた、情念を叩き付けたような可淡の作品に多くの人々が衝撃を受け魅了されました。また、自身の内部に渦巻くものをどこに表出させればよいか分からなかった人々へ人形という出口を照らし出してきました そうして愛好家と制作者を同時に増やしてきました 人形に限らず全ての創作物に言える事ですが、終わらせ時を見誤ると作品は濁ってしまいます。命が宿った瞬間に手を引く。可淡はその見極めが鮮やかとしか言えません なので荒く感じる部分もあるかもしれませんが、これ以上整え続けると宿ったものが逃げてしまう、そのぎりぎりの瀬戸際を攻めているのが実物に対峙すればお分かりいただけると思います。また独自の技法も開発しています 奥行きがあって金属のように光を反射する瞳は可淡アイと呼ばれ多くの作家が再現に挑戦しています 情報が蓄積している分、後発の作家の方が有利な部分があります。素材の質も向上しています しかし表面を似せた人形は作れても魂の部分は決して写し取れません。一つの流派と言えるほどに多くのフォロワーを生み出しながら、可淡に迫る作家は未だ現れていません。正に不世出の作家です 可淡は90年に交通事故で逝去しました 活動期間は10年あまりでした 教室を開き子どもを育てながら僅かな時間も使って生活のほとんどを人形制作に捧げて来ました。そしてその短い期間の中で多岐に 渡る作品を創り出して来ました 今回のこちらは80年代後半の晩年の作品です 等身大で手足の指も全て関節で動きます 静かながらも強い意志を感じさせる表情は可淡自身にも酷似しています。技法的にも作家の魂としてもそれまで培ったもの全てを注ぎ込んだ作品です
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