【商品番号】8238 【商品名】さらさら鬼娘 【製作者】池川伸治 【メーカー】東京トップ社 【サイズ】A5 【ページ数】128P 【状態】並上 【状態詳細】非貸本、カバーヤブレ、天に見本印 【最低落札価格】15,000円
【コメント】 少女スリラー 1967.12.7表記(作品末) 次回予告「花のマリ子・毒の奇理子」
冒頭、「私は今の世の中で美しくありたい、正しくありたい、と願うのは、またそう努力する事はその人の"はめつ"であると思う。しかしあきらめてはいけない!私達はたえず美しさを求めて前進しなければならない!」という文章から物語は始まります。 決して怒らない、いつもにこにこしている節っちゃんは、純粋な心を願う女の子。日々、星に祈りを捧げる彼女はやがて、その望み通りきれいな心になることができましたが、素直すぎるため、目にした動物のようになる病になってし まいます。鳥や蛇のような顔に変わったり、犬・猫のように四足歩行で吠え、ネズミを食べたりと奇行を繰り返すようになる節っちゃんに、家族やボーフレンドの治は心配するばかり。 そんなある日、節っちゃんと治が出会った画家の男は病気の治し方を知っており、その方法を治に教えます。それは心に憎しみを持つこと。彼女の病気を治すために家族や友人、見知らぬ人が協力して悪意を持って(いるように見せか け)接するようになります。しかし部屋をめちゃくちゃに汚し、池に突き落とし、冷たい態度を取っても、節っちゃんは人を憎むことができず、行為はエスカレート。最終、殺人を強要してきた男に対して憎しみが爆発、心に悪を抱か せることに成功…節っちゃんは「ふつうの人間」になれました。ハッピーエンド、めでたしめでたし!…となるかと思いきや、もう動物に変貌しなくなった節っちゃんの表情を見つめる治に、安堵ではなく涙がこぼれます。 「美しい心では今の世の中は生きていけない」という悲しみを抱く治の視点で突入するラストシーンは、節っちゃんと二人で街を見下ろす場面へ。最後に描かれる喪失感に包まれる治の心情は見事。 「それで君はふつうの人間になったのだ…ふつうの…」という台詞を含む抒情的な数ページで終るストーリーは爽やかな読後感を与えてくれます。 池川伸治の作品といえば、予期せぬ展開のホラー漫画…その強烈な印象をピックアップされがちですが、こちらの「さらさら鬼娘」は怪奇要素を少し含んだ青春漫画としても傑作です
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