【商品番号】7001 【商品名】音無しの剣 【製作者】横山光輝 【メーカー】東光堂 【発行年】1955(S30)03.10 【サイズ】B6上製 【ページ数】128P 【状態】極美 【状態詳細】本文3cm欠け1カ所 【最低落札価格】1,200,000円
【コメント】 昭和30年発行、東光堂。公に発表された横山作品としてはこれ以前の物として文京出版が発行していた雑誌「探偵王」試上に投稿作品として「横山みつてる」名義にて掲載された短編が数点存在するが単行本形式での正式なデビュー作は本作となる。 単行本以前から通して初の時代物となる作品で、若干粗削りな印象はあるがそこに描かれた剣戟鋭いアクション、次々と事件が起こり読者を飽きさせない娯楽性に、後にも多くの時代物を手掛け得意とした活躍の萌芽を感じさせる。 この「音無しの剣」、カバー図版を大城のぼるが担当した物と横山光輝本人が担当した物の2種類が存在するが、今回ご紹介のこの品は初版となる前者。これは、おそらくではあるが発行時は無名の新人であった横山の本を売り込み易くする為に、既に実力者として高い評価を確立していた大城を起用したという物で、藤子不二雄の単行本デビュー作となる「UTOPIA 最後の世界大戦」などでも同様の手法が見られる。現在「音無しの剣」の書影として広く知られているのはこちらの方で、やはり「音無しの剣」としてはこちらの印象が強い。横山本人が新たにカバーを描き下ろし、後版と呼ばれるVer.が発行された時期は、昭和30年代のB6判上製単行本の常として奥付に詳細な発行の日付記載が無いために判然としないものの、両者に定価の差が無い事等からそれほど離れていない物と見て取れる。 この同時代的に本来の作者によるカバーの描き直し版・新装版がでるという事はかなり稀なケースであり、当時の横山の人気(なんと横山ではこのタイトルを含め3タイトルがこのケースに当る)の程を伺わせる所である。先ほども述べた通り、後版が発行された時期は断定できない為にこれは想像の域を出ないのだが、ひょっとするとこの類稀な流れは昭和31年7月に連載が開始され、爆発的な人気を博した「鉄人28号」の存在あったればこそだったかも知れず、興味の尽きない所だろう。横山の原点にして、様々な角度から当時に思いを馳せる事のできる最重要タイトルの一角(久保)
107横山光輝
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